データベース『えひめの記憶』
河川流域の生活文化(平成6年度)
本書のねらい・凡例
1 目 的
この調査研究は、永い伝統を引き継いで、激動の昭和を生き抜いてきた人々のくらし-生活文化-に焦点を当て、そのくら
しに学ぶとともに、ふるさと愛媛の優れた地域資源を掘り起こし、今後の愛媛の歩むべき方向を探ろうとするものである。ま
た、県民だれでも参加でき、しかも人文・社会・自然の各分野が協力して総合的・学際的な調査研究を行う愛媛学の構築も併
せて目的としている。さらに、その成果は県下各地で行われている生涯学習において、広く活用するものである。
2 本年度のテーマ
「河川流域の生活文化」
3 テーマ設定の理由
過去3か年度の「瀬戸内の島々」「宇和海沿岸地域」「県境山間部」の調査により県内周縁各地を一巡したので、当初計画
した5か年計画にしたがって、特色ある生活文化を有し、自然保護や地域開発の面で、その役割が大きく見直されている河川
流域を調査地域に選定した。
4 調査対象地域
県下の主要河川流域を調査対象とし、内容の深化を図るため、肱川を中心に、加茂川、大明神川・中山川、重信川、
広見川、岩松川、篠川の、各河川流域の21市町村について調査した。
関係市町村
(肱川流域)大洲市、長浜町、内子町、五十崎町、肱川町、河辺村、宇和町、野村町、中山町
(加茂川流域)西条市
(大明神川・中山川流域)東予市、丹原町、小松町
(重信川流域)松山市、重信町、川内町、砥部町
(広見川流域)広見町、松野町
(岩松川流域)津島町
(篠川流域)一本松町
5 調査研究の視点と特徴
今回の調査の視点と特徴を箇条書すると、次のとおりである。
(1)河川流域において、昭和を生き抜いた人々のくらしに焦点を当てて調査研究した。時代的には昭和が中心で、人々のくら
しに学ぶという視点から調査した。
(2)現地調査を重視し、生活者の生の声を大切にし、できる限りオリジナルな資料をもとにまとめるよう努力した。
(3)今回の調査の視点として、川とくらしの結び付きに焦点をしぼり、「川と親しむ(遊び、川漁等)」「川が育む(生
業)」「川がむすぶ(交通・交流)」「川とつきあう(治水・可川環境等)」の四つの視点からアプローチを試み、内容の
深化を図るとともに、川とくらしのかかわりを総合的に明らかにするようにした。
(4)既存の学問(地理学・歴史学・生物学等)の調査方法にとらわれないで、より総合的・学際的に調査しようと試みた。
(5)生涯学習の一環として、県民の皆さんがふるさとの地域調査に気軽に参加していただくために、「語り-聞き取り」を重
視してまとめた。
(6)愛媛の生活文化の調査については本年度で4年目になるので、特に生活意識調査の中でこれまでの調査地との比較を、積
極的に試みた。
6 調査研究方法
(1)文献調査に偏らず、聞き取り調査や実踏調査などの現地調査を重視した。
(2)自然科学・人文科学・社会科学等の枠を超えて、学際的なアプローチをした。
(3)学識経験者のみならず、実際に地元で生活を営んでいる方々の協力を重視した。
7 協力者
(1)松友孟先生(愛媛県社会経済研究財団専務理事)には、愛媛学の基本的な考え方と、この調査についての全体的・総合的
な指導をいただいた。
(2)横飛信昭先生(愛媛県生涯学習推進県民会議会長 愛媛大学名誉教授 松山東雲女子大学教授)には、調査の計画や方法
及びまとめ方等について指導をいただいた。
(3)昭和を生き抜いた人々のくらしの調査では、聞き取り調査や実踏調査に、約200人の方々から協力をいただいた。
(4)写真で見る地域の変容の調査では、調査対象市町村に写真の提供等の協力をいただいた。
(5)生活意識調査では、西条、東予工業、小松、丹原、東温、松山中央、中山、大洲、長浜、内子、宇和の各高等学校と、肱
川町、河辺村の各教育委員会に協力をいただいた。
(6)調査対象の各市町村や教育委員会には、聞き取り対象者の選定や関係資料の収集などの協力をいただいた。
(7)愛媛県高等学校教育研究会(地理歴史・公民部会、理科部会)には、現地調査の協力や企画立案に貴重な意見をいただい
た。
【凡 例】
① 本書は、平成6年6月から平成6年10月にかけて実施した現地調査を中心にまとめたものである。
② 聞き取り調査の対象者は、該当市町村(教育委員会)の推薦をもとに、協議して選定したものである。
③ 本文については、常用漢字や現代仮名遣い、新送り仮名の使用を原則としたが、聞き取りや歴史用語・専門用語等につい
ては例外とした。
④ 本文中の年代表示は、和暦に( )書きで西暦を示した。
⑤ 本文中の生物名は、原則としてカタカナで表示した。
⑥ 本文中の単位は、℃、%、kg等で表示した。
⑦ 地名は、原則としてその当時の用例に従ったが、必要に応じ現在の地名を示した。
⑧ 参考文献等は、各節末にまとめて記載した。