太平洋から温暖な黒潮(くろしお)が流れ込む宇和海(うわかい)の最奥部に位置する八幡浜(やわたはま)市は、県内有数の水産都市であり、同時に柑橘(かんきつ)栽培日本一の生産を誇る愛媛県の中心的な果樹産地でもある。海と山で、自然を巧(たく)みに生かしながら、多種で豊かな実りを得てきたのが、八幡浜の漁業であり果樹農業である。 本章では、沖合トロール漁業や沿岸漁業、温州ミカンや柿の果樹農業を取り上げ、その仕事とともにあった人々のくらしや思いを明らかにしようとした。