データベース『えひめの記憶』
久万町誌
六 身分的呼称
身分的呼称とは、厳密にいえば、呼ばれる人の社会的あるいは家族的地位・立場などによって決まるものであるということができる。
○下男のことを社会一般では「あらしこ」というが、下男を雇っている家では「にい」と呼ぶことが多かった。
〇下女に対しては「ねえ」といっていた。
〇本家の主人を呼ぶ場合は「だんなさん」、隠居をした人に対しては「大だんなさん」、本家の主人の妻に対しては「およめさん」、本家の主人か養子の場合、その家の義父母が他人に対して話す時は「うちのにい」というようなことばを使っていた。嫁にもらった場合は、「うちのねえ」といっていた。
〇父親を呼ぶ場合、「とうやん、とっちゃん」、母親を呼ぶ場合、「かあやん、かあちゃん」、祖父を呼ぶ場合、「じいやん、じいちゃん」、祖母を呼ぶ場合、「ばあやん、ばあちゃん」といった呼び方が最も多いようである。所によっては、母親のことを「おかやん」といっていたようであるが、これは限られた地区でのみ使われていることばである。
○養子が義父を呼ぶ時は、「おやじさん」といっていた。
〇男の子に対しては「ぼう」といい、女の子に対しては「じょう」という。男女ともに二〇歳ごろまでこの呼び方で呼ばれていたようである。結婚をすると、「わかいし」、「ねえ」ということばに変わっていくのである。
○目下の者に対しては、大半が呼び捨てであった。(特に家庭内で)
○社会的に地位・身分の高い者に対しては、「先生・大将」といっていたようである。
○また、人を軽蔑したいい方の場合にも、「先生・大将」を使っていた。
〇他人同士で、しかも同列の場合は、「○○にい、○○ねえ」と呼んでいる。
○夫が妻のことを他人に話す時は、「うちのおかあ」といい、また、妻を呼ぶ場合も「おかあ」といっていたようである。
これらの呼び方は、現在も使われることがある。